3/6-紫式部
音楽: Claude Debussy "Images (oubliees) (1894)" より
演奏: TAKERU
底本: ワイド版岩波文庫 「源氏物語(一)」
P99L11-P101L8
朗読: みさきすずか
空蝉、気配を察して去る
・・・・・・「わかぎみは、いづくにおはしますならむ」
みなしづまれる夜の、御衣のけはひ、やはらかなるしも、いとしるかりけり。
ぞくり、とする描写です。
その気配は、やがて
単衣うちかけたる几帳のすき間に、暗けれど、うちみじろき寄るけはひ、いとしるし。
とうつってゆく。
衣のかさなりのあいまに僅かにさしのぞく空間。
さきほどまで何もなかったそこに、やみが深まり、こちらをうかがう。
うつせみとは、もはや燃えてはならぬ心を抱えた女なのかもしれません。
軒端の荻がひとり取り残されるかたちとなったのも、あるいは・・・・
恋するがゆえに、かのじょは気づき、そして身を翻す。
そのこころは、訪われたよろこびと
去らねばならぬいたみに ひきさかれたことでしょう。