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ケロログ | VOICE BLOG PORTAL
May 26, 2012, 1:05 am
許せない
許せない
   白と黒の山荘


庭には白い犬と黒い犬がいた。

白い犬小屋と黒い犬小屋もあるのだった。

なぜか白い犬は良い犬で
黒い犬は悪い犬ということであった。


それはともかく、ここは山荘である。


共同下宿としか思えないのだが、

山荘であると主張されたら
宿泊者たるもの、認めざるを得ない。


左右ふたつの部屋に分かれている。

右の部屋は自分の。
左の部屋は若い女の。


中央にある共同炊事場で自炊しながら
互いに他人として泊まっている。


ある日、ひとりの若い男がやって来た。

左の部屋の女の知り合いらしい。


にぎやかな話し声が聞こえてくる。

「君、いくつだったっけ?」
「十九才でーす」


そういえば、彼女が痴漢に襲われて
警察官と話していたのを聞いたことがある。

「あなたの年齢は?」
「二十二才です」


つまり彼女は、相手が違うと
態度も年齢も異なるというわけだ。


「おい。あんた」

共同炊事の流しで食器を洗っていたら、
その若い男が因縁をつけてきた。

「あんたがそんな派手なパジャマ着てるから
 おれが地味に見えてしまうじゃないか」


なるほど、自分は派手なパジャマを着ている。
かたや、相手は地味なパジャマだ。

しかし、それがなんだというのだ。


開いた窓から夏の積乱雲が見える。

むくむく腹が立ってくる。


そいつの襟首をつかんで睨みつけた。

「ふざけるな!」


おどしつけたつもりなのだが、

普段おどし慣れてないため
情けないくらい声が裏返っている。


それでも
相手は気が弱いのか

そこそこ怖気づいたようだ。


その時、女が駆け足で炊事場に現れた。


エプロン姿の彼女は
気づかないのか無視しているのか、

白い素肌の背中をこちらに向けたまま
黙って共同冷蔵庫の扉を開ける。


丸ごと入っている豚の頭部が
彼女の腋の下の隙間から見えた。

その見開かれた両目。


なにも起こらない
静かな午後のひと時。


白い犬も黒い犬も
眠っているのか

ちっとも吠えないのだった。
  
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Posted by Tome館長 at May 26, 2012, 1:05 amComments(0)
May 23, 2012, 2:31 am
教えてあげない
教えてあげない
起こってから騒いでも無駄なのだ。
起こる前に始めなければ。

誰かが気づく前に気づき、
誰かがやる前にやる。


前と後では雲泥の差なのだ。
昨日と明日くらい違う。

「生きてるのと死んでるの
 どっちがいいの?」

返事は人それぞれだろうが、
死んでから悩む奴はおるまい。


ただし、それがなんなのか
という肝心なことは

どうしても
教えてやることができない。


もし
それを知っているとしても

すでに
それはそれではないのだから。


それは
その根本からして

自分で見つけるしかないのだ。
  
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Posted by Tome館長 at May 23, 2012, 2:31 amComments(0)
May 22, 2012, 12:43 am
愚 痴
愚 痴
   愚痴聞き屋


えー、皆さま。
大変お騒がせいたします。

こちらは毎度お馴染(なじ)
愚痴(ぐち)聞き屋でございます。


どうにもこうにも
やり場のない愚痴はありませんか。


誰も聞いてくれない愚痴、
聞くに堪えない愚痴、

耳にタコの愚痴、
よく聞き取れない愚痴、

どんな愚痴でも結構です。


量の多少、質の高低、
態度の大小に係わらず、

しっかりお聞きいたします。


逃げません。
耳栓は使いません。

寝たフリもしません。
怒って喧嘩することもありません。


ただただひたすら(こうべ)を垂れ、
じっと耐え忍んで拝聴いたします。


どこかにどなたか
ご迷惑な愚痴はありませんか。

どんな愚痴でも構いません。

この宣伝がうるさい、
という愚痴でも結構です。

どうぞ遠慮せず
お申し付けください。


わだかまりのある愚痴、
声に出せない愚痴、

しょうもない愚痴、
グチグチうるさい愚痴、

いかなる愚痴でも
格安にて(うけたまわ)ります。


遠慮せず、我慢せず、
正々堂々と愚痴ってください。

大声で愚痴れば
心身ともにすっきりいたします。

どうぞ怒鳴って
呼び止めてください。


えー、皆さま。
大変お騒がせいたします。

こちらは毎度お馴染み
愚痴聞き屋でございます。


「こえ部」むにさんが朗読してくださいました!

●ケロログ「声のかけら」小狼さんが朗読してくださいました!
  
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Posted by Tome館長 at May 22, 2012, 12:43 amComments(0)
May 21, 2012, 12:51 am
君と一緒
君と一緒
   金環日食


2012年5月21日(月)の朝7時半前後、

関東以西の太平洋側で金環日食
日本全国で部分日食が見られる。


これほど広範囲に日本で観測できるのは
平安時代末期1080年以来、じつに932年ぶり。

今回、見かけの月が見かけの太陽より小さいため
皆既日食にならず、金色の環が残るという。


さて、この日食が我々に及ぼす影響について。


日食の日には株価が上がる可能性が高い、という。
そのような統計データがあるらしい。

気分が高揚するからではないか、とのこと。


もしやと思って調べてみたら、

しばらく下がり続けていた金価格
5月16日を底値に少し上昇しているようだ。


その他、

とりあえず日食を見てから、ということで
直前までの自殺発生率は平均より少ない気がする。

ただし、空が曇ってつまらなかったりすると、
その反動で直後に急増するかもしれない。


また、日食中は一時的に白夜になるわけで
よそ見を含め、交通事故が多発しそう。

まだ早い、と勘違いして寝過ごし、
会社や学校に遅刻する人もいるかもしれない。


たとえ曇りでも、専用サングラスを使うとしても、
どうしても太陽方面を長時間見続けるわけで

いわゆる「日食網膜症」が心配される。

どんなに危険性を呼びかけても
しばらく眼科医は忙しくなることであろう。


ウェブサイトは類似の金環写真で埋め尽くされ、
類似の話題が氾濫することであろう。

検索キーワードも「日食」だらけ。

食傷しないわけにはいくまい。


地震を誘発するという説もある。

太陽から放射されるニュートリノが
月のレンズ効果で増幅され、地球の核に影響を及ぼし、

その核に引っ張られた圧力波が地表に伝わる、とか。


その前に原発は大丈夫なのか。


急激な温度変化による気象異常も心配になる。

最近、竜巻とか多いから。


心配を始めると切りがない。

やはり太陽は偉大である。


それはさておき、

仲良く一緒に金環日食を観測する恋人たちは
結婚指輪とプロポーズを期待するのではなかろうか。

「あのリング、欲しい!」
「じつは、ちゃんと用意してあるんだ」

かなり臭いが、チャンスかもしれない。
  
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Posted by Tome館長 at May 21, 2012, 12:51 amComments(2)
May 20, 2012, 12:08 am
君に夢中
君に夢中
君は、人間じゃない。
だから女でもない。

ただし、化けることはできる。

近所のお姉ちゃんにも、
世界的なJazzシンガーにも。


いつもは角砂糖。
たまに抱き枕。

気が向くと

駅前交差点で
ティッシュ配ってる。


他人のフリをするのが得意。

泣くのが不得意。


そう言えば、

ストリート・ミュージシャンとか
目指していたんだっけ。

それとも声優?


なんにせよ、

君は反面三角で
僕は倒立円錐(えんすい)さ。


たまには一緒にメシ喰おう。
  
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Posted by Tome館長 at May 20, 2012, 12:08 amComments(0)
May 19, 2012, 9:37 am
湖面を切る
湖面を切る
夜空に浮かぶ月と星。

湖岸に立つ武士。

おもむろに武士は抜刀し、
湖面に映る月を切る。


さて、いかに。


武士は湖面の月を切ったつもりでも、
傍で見物の目には切れてない。

ましてや、夜空の月に損傷はなし。


電網の湖岸にて
電脳の月を切る武士の

星の数ほど多きこと。
  
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Posted by Tome館長 at May 19, 2012, 9:37 amComments(0)
May 18, 2012, 1:11 am
互いを疑え
互いを疑え
あなたにお願いしたいことがある。
協力して欲しいのだ。

安心なさい。
難しい注文ではないのだから。



まず、手相を見るように
自分の片手を眺めていただきたい。


それは手である。
疑うまでもない。


しかしながら
あなたに問いたい。

その手は常に手であるか、と。


からかっているわけではない。

実際、疑う余地があるのだ。


その手をクルマのワイパーのように
左右に大きく振ってみていただきたい。

しかも、目で追えないくらい速く。


すると、手の形は消え、
扇状のぼんやりしたものが現れるはず。

動く手の残像である。


さて、残像のそれは
はたして手と言えるのだろうか。


ある位置において
あったりなかったりするもの。

ある位置において
存在と不在を繰り返すもの。


動きを止めれば
そこに確かに手はある。

しかし、再び動き始めた手は
そこだけでなく、ここにもある。

いや、そうではない。
そこにもここにもない。


なんだ、それは。
そんなものが手と言えるのか。

まるで幽霊のようではないか。


あなたに対して移動し続ける対象を
あなたが追尾しようとしない場合、

たとえ、その動きが光速でないとしても

それがあなたと同じように存在すると
あなたには言えるのだろうか。



・・・・・・以上である。

あなたが存在するかどうか不明だが
ともかく、あなたの協力に感謝する。
  
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Posted by Tome館長 at May 18, 2012, 1:11 amComments(0)
May 17, 2012, 1:44 am
細切れの肉
細切れの肉
   鍋の女


捕えた女を鍋で煮ている。


「お嬢さん。湯加減はいかがですか?」
「ええと、ちょっと熱いわね」

「熱いくらいが、ちょうど良いのですよ」
「あら、そうなの?」

「そうなんです」


近くで太鼓の音がする。


「お祭りでもあるのかしら」
「そうですよ。あなたを歓迎しているのです」

「まあ。それは光栄ね」
「期待してください」


なんとも言えない香りがする。


「どうして、野菜や果物が一緒に入ってるの?」
「野菜は健康に良いのですよ」

「果物は?」
「美容によろしい」

「肌がきれいになるかしら」
「もちろんです」


こっそり鍋に塩を入れる。


「あなたも一緒に入ったら?」
「と、とんでもありません!」

「あら。恥ずかしいの?」
「そ、そういうわけではありませんが・・・・・・」

「おかしな人ね」
「すみません」


木の枝を火に投げ込む。


「なんだか、めまいがするんだけど・・・・・・」
「もうすぐですよ」


熱帯の月が笑いかける。
   
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Posted by Tome館長 at May 17, 2012, 1:44 amComments(0)
May 16, 2012, 2:40 am
散りゆかば

散りゆかば

  朱色(あけいろ)
   絶えて

     葉は緑


  やがて実りて

    豊穣(ほうじょう)となす
  
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Posted by Tome館長 at May 16, 2012, 2:40 amComments(0)
May 15, 2012, 1:04 am
散る花
散る花
散る花の
 名は知らねど

    はらはらと


  香り
   残せし

     今更の恋



「ゆっくり生きる」haruさんが動画にしてくださいました!
   
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Posted by Tome館長 at May 15, 2012, 1:04 amComments(0)