皿に饅頭が二個のっていた。
それは兄と僕、
僕たち兄弟のオヤツだった。
兄はまだ帰宅してなかった。
家に僕ひとり。
僕は、僕の分の一個を食べた。
すごくおいしかった。
腹が空いていたのだろう。
とにかくおいしかった。
だから、当然ながら
もう一個の饅頭も食べたくなった。
でも、それは兄の分だ。
僕の分じゃない。
二個とも食べてしまったら
絶対に母に怒られる。
兄だって怒るに違いない。
それはわかっている。
でも、どうしても食べたかった。
食べたくて仕方なかった。
我慢できない。
食べたい。
それで、食べてしまった。
皿の饅頭、二個とも。
知らんぷりして誤魔化
誤魔化したつもりになって
もしかしたら
まんまと誤魔化せたのかもしれない。
なぜなら、
その後の記憶が欠落しているから。
あるいは、
良心を誤魔化しただけなのかもしれないけれど。