ケロログ
June 20, 2013, 8:20 pm
この一事だけは断っておこうよ
「とにかく、この一事だけは断っておこうよ――この席上が弾薬塔だということをね。とにかくそういう話は、いずれ薔薇園でやってもらうことにしようじゃないか」
 ところが、次の瞬間法水の顔にサッと光耀が閃いていて、突如鉄鞭のように、凄じい唸りが惰気を一掃したのである。彼は、甘そうに莨を二、三度吸うと云った。
「冗談じゃないぜ、こんなに素晴らしい魔王の衣裳が、弾薬塔や砲壁の中にあってたまるもんか。支倉君、僕の魔法史的考察はついに徒労ではなかったのだ。散々ぱら悩まされた五芒星呪文の正体が、ものもあろうに、ルイ十三世朝機密閣史の中から発見されたのだよ。いや言葉を換えて云おう。当時不即不離の態度だったけれども、新教徒の保護者グスタフス・アドルフス(瑞典王)と対峙していたのが、有名な僧正宰相リシュリュウだったのだ。実にこの事件の本体が、あの陰険きわまりない暗躍の中に尽されているのだよ。ところで支倉君、君は、リシュリュウ機密閣の内容を知っているかね。暗号解読家のフランソア・ヴィエトやロッシニョールは? 錬金魔法師兼暗殺者のオッチリーユは? つまり、問題はこの悪党僧正オッチリーユにあるのだが……ああ、なんという薄気味悪い一致だろうか。被害者の名も、犯人の名も、あの竜騎兵王を斃したリュッツェン役の戦歿者中に現われているのだがね」
馬の耳に念仏 : 寒い季節はダイエットに適している?  
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Posted by みう at June 20, 2013, 8:20 pm
January 28, 2013, 8:20 pm
犯人を一種の展覧狂と信じている
 それによると、犯人を一種の展覧狂と信じている法水は、最初伝説学に考察の矢を向けたのだった。アナトール・ル・ブラの「ブリトン伝説学」やガウルドの「オールド・ニック」までも渉猟して、性別転換の深奥に潜んでいて犯罪動機に符合するものを、中欧死神口碑の中に見出そうとした。また、シェラッハウヘンの「シュワルツブルグ城」その他から、妖精の名称に関する語源学的な変転を知ろうとした。つまり、水精と水魔との間に一致があれば、女神フリーヤー(すなわちニケーアあるいはニックスと一体で善悪二様の化身のあるヴォーダン神の妻)の化身と云われる白夫人伝説のなかに、異様な二重人格的意義を発見できはしまいかと考えたからである。さらに、「Volksbuch」やゴットフリート(フォン・シュトラスブルグ)の神秘詩や、ハーゲンやハイステルバッハ、それから、ゲーテの「ファウスト第一稿」と第二稿、第三稿との比較も試みたけれども、結局その第一稿には、第二稿以下には判然としていない地霊(すなわち、ウンディネ・ジルフェ・サラマンダー・コボルトを眷族とする大自然の精霊)が、壮大な哲学的な姿を出現させているのみであった。しかし、この五芒星呪文に関する法水の解説は、むしろ講演に等しかった。それなので、ジリジリ緊迫の度を高めていた空気がしだいに緩んでいって、背中に陽をうけている二人の間には、ぽかぽかした雲のような眠気が流れはじめた。検事は皮肉な嘆息をして云った。馬の耳に念仏 : 寒い季節はダイエットに適している?  
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Posted by みう at January 28, 2013, 8:20 pm
January 28, 2013, 8:19 pm
まだまだ僕は
「しかし、まだまだ僕は、あの五芒星呪文に、もっと深いところに内在している、核心のものがあると信じていたのだ。つまり、この事件の生因と関聯している、サア、犯罪動機と云うよりも、まだもっと深奥のものかもしれない。いや、もう少し広い意味で云うと、黒死館の地底には、一面に拡がっている幾つかの秘密の根がある。それが盤根錯綜として重なり合っている個所の形状を、何かの動機で知ることが出来はしまいかと考えたのだ。それで、試みに様々の角度を使って、一々あの呪文を映してみたのだよ」とそこまで云うと、法水はさすがに疲労の色を泛べて、昨日一日を費やした凄愴な努力を語るのだった。馬の耳に念仏 : 寒い季節はダイエットに適している?  
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Posted by みう at January 28, 2013, 8:19 pm
January 28, 2013, 8:18 pm
犯人の冷笑癖
「つまり、きっと犯人の冷笑癖が、結局自分の墓穴を掘ってしまったのだよ。試しに水精と、性別転換の行われてない火精とを比較して見給え。必ずその解答が、前例の二つとはてんで転倒した犯行形式に違いないのだ。犯人は隠微な手段を藉らずに、堂々と姿を現わして、ブラッケンベルグ火術の精華を打ち放すだろう。勿論標尺と引金を糸で結び付けて、反対の方向へ自働発射を試みるようなことはやらんだろうし、汁で縮むレットリンゲル紙を指に巻いて、引金に偽造指紋を残すような陋劣な手段にも出まい。云わば、いっさいの陰険策を排除した騎士道精神なんだよ。しかし、僕等にもしこの用意がなかった日には、前例の二つに現われている、複雑微妙な技巧に慣れた眼で、必ずや錯覚を起すに違いないのだ。つまり、そこに犯人が目論んだ、反対暗示があると云う訳だが、……今度こそは嗤い返してやるぞ」
 勿論その一言は、今後の護衛方法に決定的な指針を与えるものに相違なかった。けれども、こうして法水の知脳が、次回の犯罪において全く犯人の機先を制したかのように見え、ことに火精の一句が、結局犯人の破滅を引き出すかの観を呈したのだったけれども、従来彼対犯人の間に繰り返されていった権謀術策の跡を顧みると、法水の推断を底とするのが、まだまだ早計のようにも思われるではないか。しかし、五芒星呪文に対する彼の追及は、けっしてそれのみには尽きなかったのである。馬の耳に念仏 : 寒い季節はダイエットに適している?  
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Posted by みう at January 28, 2013, 8:18 pm
January 28, 2013, 8:17 pm
鐘鳴器室の風精が
「すると、鐘鳴器室の風精が、あの倍音演奏とどんな関係があるのだね。そのλは、θは?」と検事が喘ぐように訊ねると、法水はにわかに態度を変えて、悲劇的に首を振った。
「冗談じゃない。どうしてあれが、そんな遊戯的衝動の産物なもんか。あれには、悪魔の一番厳粛な顔が現われているんだよ。ねえ、そうじゃないか支倉君、没頭と酷使とからは、きまって恐ろしいユーモアが放出されるんだぜ。だから、あの風精のユーモアは、今のような論理追求だけで潰げてしまうようなしろものじゃない。きっと水精などとは似ても似つかぬほど、狂暴的な幻想的なものに違いないのだ。それに、元来あの風精と云うのが、眼には見えぬ気体の精なんだからね。したがって、どこぞという特徴もないのだ」とむしろ冷酷に突き放してから、熊城の方を向くと、彼は満面に殺気を泛べて云い放った。馬の耳に念仏 : 寒い季節はダイエットに適している?  
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Posted by みう at January 28, 2013, 8:17 pm
January 28, 2013, 8:17 pm
法水の顔に微かな紅潮が
 と法水の顔に微かな紅潮が泛び上って、五芒星の不備を指摘する、メフィストの科白(その円に一個所誤謬があったためにその間隙を狙い、メフィストがファウストの鎖呪を破って侵入したのである)を口にした。「――とくと見給え。あの印呪は完全に引いてないよ。外側に向いている角が、見るとおりに少し開いている」
「ああなるほど、毛髪と鍵の角度に水! これは、博学なる先生に御挨拶申し上げます。すこぶる汗をかかされたものですわい」
 と同じく洒落た口調で、検事もメフィストの科白で相槌を打ったけれども、それには、犯人と法水と、両様の意味で圧倒されてしまった。……あの夜ダンネベルグ夫人が死体となった室の扉には、鍵孔に注ぎ込んだ水の湿度によって毛髪が伸縮し、自働的に開閉されるデイ博士の隠顕扉装置が秘められてあった。ところが、それに必要な水と毛髪とが、カルデア古呪文の中に隠されていたのは未だしもの事で、より以上の驚きと云うのは、ほかにあったのだ。それは、その装置を力学的に奏効させるところの落し金の角度が、物もあろうに機械図のような精密さで、五芒星の封鎖を破ったメフィストの科白の中に示されていた事である。そうなると、勿論その方程式は、事件中最大の疑問と云われる次の風精に向って追及されねばならなかった。が、その解答を求めた検事の顔には、痛々しいまでの失意が現われた。馬の耳に念仏 : 寒い季節はダイエットに適している?  
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Posted by みう at January 28, 2013, 8:17 pm
January 28, 2013, 8:16 pm
犯罪方程式
「なに犯罪方程式※」法水の意外な言に、熊城は胸を灰だらけにして叫んだ。けれども、だいたいが真理などと云うものは、往々に、牽強附会この上なしの滑稽劇にすぎない場合がある。しかも、きまっていつも、それは平凡な形で足下に落ちているものではないか。続いて、法水が曝露したその一側面と云うのが、いかに二人を唖然たらしめたことか……。
「ところで君は、スピルディング湖の水精を描いた、ベックリンの装飾画を見たことがあるかね。鬱蒼とした樅林の底で、氷蝕湖の水が暗く光っているのだ。それが、群青を生の陶土に溶かし込んだような色で、粘稠と澱んでいる。その水面に、※の背ではないかと思わせているのが、金色を帯びた美しい頭髪で、それが藻草のように靡いているのだよ。けれども熊城君。僕はなにも職業的な観賞家じゃないのだからね、猟館や瘤々した自然橋などを持ち出してまで、君達に瞑想を促そうとする魂胆はない。そういう水精を男性に変えてしまう段になると、真先に変化の起らねばならぬものが、そもそも何であるか――それを問いたいのだよ」
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Posted by みう at January 28, 2013, 8:16 pm
June 20, 2013, 8:15 pm
勿論刑法的価値としては
「勿論刑法的価値としては、完全なものじゃないさ」と法水は烟を靡かせて、静かに云った。「しかし、最も疑われてよい顔が、僕等を惑わしていた多くの疑問の中に散在しているんだ。つまり、その一つ一つから共通した因子が発見され、しかも、それ等をある一点に帰納し綜合し去ることが出来たとしたらどうだろう。またそうなったら君達は、強ちそれを、偶然の所産だけとは考えないだろうね」と云って、卓子をガンと叩き、強調するものがあった。「ところで僕は、この事件を猶太的犯罪だと断定するが、どうだ!」
「猶太――ああ君は何を云うんだ?」熊城は眼をショボつかせて、からくも嗄れ声を絞り出した。恐らく彼は、雷鳴のような不協和の絃の唸りを聴く心持がしたことであろう。
「そうなんだ熊城君、君は猶太人が、ヘブライ文字の※から※までに数を附けて、時計の文字盤にしているのを見たことがあるかね。それが、猶太人の信条なんだよ。儀式的の法典を厳格に実行することと、失われた王国の典儀を守ることだ。ああ、僕だってそうじゃないか。どうして今までに、土俗人種学がこの難解きわまる事件を解決しようなどと考えられたろうか。とにかく、支倉君の書いた疑問一覧表を基礎にして、あの薄気味悪い赤い眼の視差を計算してゆくことにしよう」と法水の眼の光が消えて、卓上のノートを開きそれを読みはじめた。
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Posted by みう at June 20, 2013, 8:15 pm
January 28, 2013, 8:15 pm
瞬間検事と熊城は
 瞬間検事と熊城は、自分ではどうにもならない眩惑の渦中に捲き込まれてしまった。犯人の名――それはすなわち、この事件の緞帳が下されるのを意味する。しかし、古今東西の犯罪捜査史をあまねく渉猟したところで、とうてい史実によって犯人が指摘され、事件の解決が下されたなどという神話めいた例しが、従来にわずかそれらしい一つでもあったであろうか。それであるからして、二人は駭き呆れ惑い、ことに検事は、猛烈な非難の色を泛べて、実行不可能の世界に没頭してゆく法水を、厳然と極めつけるのだった。
「ああまた、君の病的精神狂乱かね。とにかく、洒落はやめにしてもらおう。壺兜や手砲で事件の解決がつくと云うのだったら、まず、そういう史上空前の証明法を聴こうじゃないか」 馬の耳に念仏 : 寒い季節はダイエットに適している?  
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Posted by みう at January 28, 2013, 8:15 pm
January 28, 2013, 8:10 pm
寒い季節はダイエットに適している?
最近改めて気付いたのですがやはり寒い季節になってくると食欲が増すなと思いました。
これは人間の本能としては正常な反応なのだと思います。
飢えと寒さをしのぎながら原始時代から人間は生きてきたのですから当然でしょう。
しかしそうは言ってもやはり現代では食欲のおもむくままに生活していたらあっという間に肥満体になってしまいます。
寒い季節は食欲とダイエットを強く意識して過ごすことになるのでやっかいな時期だなと思ってしまいます。
しかし寒い季節というのは外気が冷たいので体が勝手に体温をあげようとするのでかえってダイエットに向いているという話を聞いたことがあります。
もしそうなら鍋料理など体を温めるような食事を取れば太ることをあまり恐れなくてもいいような気がします。

こちらからどうぞ 禍福は糾える縄の如し by みう|CROOZブログ  
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Posted by みう at January 28, 2013, 8:10 pm